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エンジニアリングとマネジメント

『ビジョナリー・カンパニー』を読み終えて

『ビジョナリー・カンパニー』はいい本だった

経営の書籍といったイメージだが、会社でのポジション関係なしに読んでおいて損のない本だと思う。

「時代を超え、際立った存在であり続ける起業(ビジョナリー・カンパニー)」とはどういったものかというのを、様々な起業を比較対象としながら解き明かしていっている。

今後自身で起業するにしろ、会社員として務めるにしろ、会社の理念というものがいかに大事であるか。これをしっかりと腹落ちする。

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

大事なところ

本書では以下の4つだけは覚えておいて欲しいとうったえている。

  1. 時を告げる預言者になるな。時計をつくる設計者になれ。
  2. 「ANDの才能」を重視しよう。
  3. 基本理念を維持し、進歩をを促す。
  4. 一貫性を追求しよう。

ビジョナリー・カンパニーが上記に対してどのような取り組みを行っているか。それにより、どうなっていったかを他企業と比較して書いており、何度も繰り返し書かれていることから自然と頭に入ってくる構成になっている。

1. 時を告げる預言者になるな。時計をつくる設計者になれ。

端的に言うと、圧倒的なカリスマ性や指導力で会社を仕切っていくのではなく、 基本理念の元、後述の2~3を実現するための仕組みをつくる ということかと思う。

会社に対してしっかりとした仕組みを作ることで、社員の士気や思想なども仕組みを用いてつくられていき、指導者が去った後も、会社は成長し続ける。
※後継者育成は力を入れて取り組むべきと本書では伝えており、どんなに素晴らしい仕組みがあっても後継者が理念に沿っていない場合は、会社は衰退する。

2.「ANDの才能」を重視しよう。

「ORの抑圧」
一見矛盾する力や考え方は同時に追記有できないとする理性的な見方である。

「低コストか、高品質のどちらかだ」。
そんなの無理じゃん!と決めてかかってしまうのが「ORの抑圧」。

「ANDの才能」
様々な側面の両極にあるものを同時に追求する能力。

「低コストか、高品質のどちらかだ」。
ではなく、 「低コスト、かつ高品質」の 両方を追求する

バランスを取るのではなく、両方をとことん追求、徹底するということだ。 コスト云々だけだはなく、事業、会社組織に渡る全てにおいて、「AND」を追求していく。

3.基本理念を維持し、進歩を促す。

  • 基本理念 = 基本的価値観 + 目的
  • 基本的価値観 = 組織にとって不可欠で不変の主義。
    幾つかの一般的な指導原理からなり、文化や経営手法と混同してはならず、利益の追求や目先の事情のために曲げてはならない。
  • 目的 = 単なる金儲けを超えた会社の根本的な存在理由。
    地平線の上に永遠に輝き続ける道しるべとなる星であり、個々の目標や事業戦略と混同してはならない。

基本理念は会社の中心となり、決して曲げてはならないものであり、基本理念にしたがって行動する。 そして、基本理念以外のすべての分野で、変化と前進を強く促すことで、基本理念と進歩への意欲が共存し、相互に力を与え合い、補完し合い、強化し合うことになる。

簡単に言ってしまえば、基本理念以外は柔軟に、時には劇的に変化していくという仕組みをつくっていくということかな。

  • 基本理念を維持する例
    • カルトのような文化を築き、基本理念を信奉させる
    • 生え抜きの経営陣(社内の人材を経営幹部に登用)
  • 進歩を促すの例
    • 社運を賭けた大胆な目標(本書では「BHAG」と呼んでいる)を掲げる
    • 大量のものを試して、うまくいったものを残す
    • 決して満足しない

4.一貫性を追求しよう。

基本理念、それらの仕組みに一貫性をもって取り組む。
基本理念は絶対に変えないし、全ては基本理念に沿って組織をつくっていく。

社員が一貫したシグナルを受け取り、基本理念を支え、目標通りの進歩を遂げる環境が強化されているか。

自己啓発本でもある?

人間は一人ひとりは小さな会社でもある。といった内容の本をどこかで見たが、それに置き換えると、これらは全て自分自身という会社に置き換えれるような気がした。

例えば以下のような感じかな。

  1. 時を告げる預言者になるな。時計をつくる設計者になれ。
    自分の中にルールを設けて、常にそのルールに従う。
  2. 「ANDの才能」を重視しよう。
    両方を追い求める。常にそう心がける、またはそうなるルールをつくる。
  3. 基本理念を維持し、進歩をを促す。
    自分自身の理念をつくり、それに従う。
    進歩していくための自分自身の大きな目標、決して満足しないハングリー精神を持つ。
  4. 一貫性を追求しよう。
    それらを徹底する。一貫して反した場合は自分に罰を与える。

実は、本ブログで書いている英語の勉強もこれに沿って勉強法を考えていた。 どうしても怠けてしまうので、勉強にルールを設けて、そのルールを徹底するような仕組み(勉強したらブログにアウトプットする)ということを取り入れてみた。

勉強よりも大きい視点で取り入れれそうだが、自分自身で理念というのがイマイチ明確になっていないので、そこを探求してみようか。